2000 11/6
小学校1年生の時の話である。
小学校1年生の頃、きゅうに自宅の水洗トイレの流れる音が怖くなった。
だから私は、何度か、本当に数える程だけど、ナイショで庭とか外とかでおしっこをした事がある。
さて、その日もわたしは外でおしっこをした。
それも隣のアパート(今はもう無いんだけど)の玄関で、である。極悪である。
一応、仕切りがあって、道からちょっと見えなくなっているのだ。
排尿をすませた私の目に、同級生のO君の姿がうつった。
O君の家は目と鼻の先にある。多分家に帰ってきたか、どこかへ遊びに行く所だったのだろう。
やばい。見つかったらやばい。
事をすませてしゃがみこんだまま硬直している私に、無情にもO君は気づいた。
「よお、何してんの」
わたしはとっさに言った。
「こんなとこに雨ふってないのに水たまりがあるの」
「どれ?」O君はやってきて、水たまりを見た。
「なんだろう」
O君は問題の水たまりに手をやって、鼻に近づけてクンクンした。
「あ、これ、しっこだ、しっこ」
「えー。ほんとぉー?」
O君はもういちど匂いをかいだ。
「うん。やっぱこれしっこだよ。おまえここでしっこした?」
「うううんん、するわけないじゃん!!」
私はぶるんぶるんと首を横に振った。
「うん、やっぱこれしっこだよ」
極めつけにもう一度言うと、O君はどこかへ遊びに出かけてしまった。
O君はあれが私の「しっこ」だと気づいていたのかどうかは定かでない。
ただし、O君はまだすぐそこお住まいなのでちょくちょく見かける。
そのたびに「あっ・・・」と思い出す私なのであった。 |
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